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日別アーカイブ: 2025年8月20日

第13回鉄骨工事雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社本多工業、更新担当の中西です。

 

~“現場が止まらない”~

鉄骨は「図面通りに作って立てる」だけでは回りません。設計・製作・建方が一体となった段取りで、通り精度・工期・安全を同時に成立させるのがプロの仕事。この記事では、現場でそのまま使える勝ちパターンを、チェックリスト付きで解説します。✨


1|全体工程MAP(まず全体像)️

  1. 基本設計・詳細検討(仕口・継手・耐火仕様)

  2. 施工図・現寸(衝突・納まり検証)

  3. 材料手配・トレーサビリティ設定(ミルシート紐づけ)

  4. 工場製作(開先→仮付→本溶接→矯正→孔あけ→仮組)

  5. 素地調整・塗装/耐火仕様の確認

  6. 出荷・輸送(番付・荷姿計画)

  7. 建方(クレーン計画・通り出し・本締め)

  8. 最終調整・検査・引渡し

コツ:“前工程で次工程の条件を確定”。未決のまま進めると全てが後手に回ります。


2|設計・ディテールの要点(不具合の8割はここで決まる)

  • 柱梁仕口:高力ボルト本数/ピッチ、座金の当たり、レンチクリアランス

  • 梁成・スリーブ衝突:設備・ダクト・配管との干渉はBIMや干渉表で先消し

  • デッキ合成:スタッド位置と溶接可否、端部の座屈止め

  • 柱脚:アンカー配置・ベースプレート厚・グラウト納まり


3|材料・トレサ管理(後追いできる体制)

  • ヒートNo.→部材ID→台帳を一気通貫で紐づけ

  • 端材は長さ・断面別で保管し、流用先を明記(歩留まりUP)

  • 孔あけ・切断はネスティング最適化で残材率を見える化


4|工場製作の勘所(まっすぐ作る)

  • 溶接順序で歪みをコントロール(対向・対称・短ビード)

  • 仮組検査で取合い・ボルト通りを事前確認

  • 素地調整→下塗りは仕様書に沿って等級・膜厚を記録

  • 孔精度・面取りで建方時のボルト入らない問題を撲滅


5|出荷・輸送(建方順=積み順)

  • 部材は番付順で積載、吊りポイントをマーキング

  • 長尺物は撓み養生、塗装面の当たり養生を徹底

  • 納入伝票に部材ID/番付/設置位置を明記し現場受入れを時短


6|建方計画(クレーンと風と人の動線)️️

  • 揚重計画:作業半径・ジブ長・吊荷重表で余裕を確保

  • 通り出し:基準通り(X→Y→高さ)で基準柱を先に決める

  • 仮ボルト→本締めの順序・階ごとの仮ブレースを事前定義

  • 強風・雷・降雨時の中止基準は明文化(現場裁量にしない)


7|精度・安全・品質のチェックリスト ✅

  • 柱鉛直・通り(レーザー/トランシットで記録)

  • 高力ボルト:下穴清掃・ワッシャー面・締付順序・マークオフ

  • 溶接部:外観(クレータ/アンダーカット)→必要に応じ非破壊検査

  • 塗膜:膜厚・タッチアップ記録

  • 仮設:手摺・親綱・開口養生の継続管理


8|写真台帳

「日付_工区_部位_内容」

  1. 全景(建方エリア) → 2) 部位(仕口・柱脚) → 3) 寸法UP(スケール写り込み)
    是正後は同アングルで再撮。Before/Afterが一目で分かるように。


鉄骨工事は段取りの競技。設計→製作→建方を一本の線でつなぐだけで、通り不良・再作業・待ち時間が劇的に減ります。