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月別アーカイブ: 2025年11月

第20回鉄骨工事雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社本多工業、更新担当の中西です。

 

安全と精度

 

鉄骨建方の現場は、建設業の中でも最も危険性が高い作業の一つである。高所作業・重量物取扱・大型クレーン操作など、常にリスクと隣り合わせだ。

高所作業における安全対策

建方作業では、地上10m〜50mの高さで作業を行うことも多い。墜落・転落防止のためには、安全帯(フルハーネス)の適切な装着、仮設手すり・ネット・親綱の設置が不可欠である。また、強風や雨天時は作業中止が原則。現場判断を誤ると、命に関わる事故につながる。

毎朝行われるKY(危険予知)ミーティングでは、作業内容に応じた危険要素を洗い出し、チーム全体で共有する。「このボルトを締める時に足元が滑る可能性がある」「吊荷の下に絶対に入らない」といった基本動作を徹底することが安全文化を育てる。

クレーン作業と合図の重要性

鉄骨建方では、クレーンによる吊り上げ作業が中心となる。オペレーターと玉掛け作業員、指揮者の三者が完全に連携しなければならない。無線機・ハンドサインによる正確な伝達が不可欠で、一瞬の誤解が重大事故を招く。

特に「吊荷の下に人を入れない」「合図が確認できるまで動かさない」ことは鉄則である。作業スピードよりも“安全優先”を徹底する姿勢が、プロとしての信頼を築く。

精度管理の徹底

鉄骨の建方作業では、ミリ単位の精度が求められる。誤差が積み重なると、最上階では数センチのズレになることもある。そのため、トランシットやレーザーレベルによる測定を行い、柱・梁の垂直度・直角度を常に確認する。

また、高力ボルトの本締めトルクや溶接の温度管理も重要だ。どれか一つでも基準を満たさなければ、全体の強度が保証されない。職人たちは、見えない部分で「精度と品質」に命を懸けている。

現場に息づくチームワーク

鉄骨工事は、一人ではできない仕事である。組立て班、溶接班、鳶職、検査員、監督、クレーンオペレーター――。それぞれの職能が連携して初めて安全で美しい構造体が完成する。

鉄骨工事の現場には「人と人との信頼」が欠かせない。互いに声をかけ、確認し合いながら作業を進める姿勢が、事故を防ぎ、精度を守る最も基本的なルールである。

第19回鉄骨工事雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社本多工業、更新担当の中西です。

 

鉄骨工事の基礎と役割

 

 

建築現場を見渡したとき、まず目に入るのが鉄骨の構造体である。高層ビル、工場、倉庫、商業施設、橋梁など、現代の大半の構造物は鉄骨を中心に組み立てられている。木造やコンクリート造とは異なり、鉄骨構造の最大の特徴は「強さと柔軟性の両立」である。

鉄骨工事とは、鉄骨の製作・加工・建方・溶接・ボルト締結などを通じて、建物の主要な骨格を形成する工程を指す。構造計算をもとに、設計通りの精度で鉄骨を立ち上げることが求められる。わずかなズレでも建物全体の精度や安全性に影響を及ぼすため、数ミリ単位の誤差も許されない。

鉄骨工事の流れ

  1. 設計・製作図の作成
     構造設計図をもとに、鉄骨製作図を専門業者が作成する。ボルトの位置、溶接箇所、梁の長さなどをすべて3Dで確認し、現場での施工誤差を防ぐ。

  2. 鉄骨加工・塗装
     製作工場で鋼材を切断・孔あけ・溶接して部材をつくる。JIS規格に基づいた品質検査を行い、溶接部の超音波探傷試験(UT)や磁粉探傷試験(MT)などで欠陥をチェックする。

  3. 現場搬入・建方作業
     鉄骨はトレーラーで現場に搬入され、クレーンによって吊り上げ・組み立てを行う。建方作業では、現場溶接と高力ボルトによる接合が中心となる。地上数十メートルの高所で、精密かつ迅速な作業が求められる。

  4. 本締め・溶接・検査
     仮ボルトで位置を合わせた後、本締めを行い、トルクレンチで規定値を確認。すべての接合部に検査記録を残す。溶接箇所も外観・内部ともに検査し、品質保証を行う。

鉄骨工事は建築工程の中でも特に「時間との勝負」が多い。現場の工程は鉄骨の建方に大きく依存しており、遅れが全体の工期に直結する。そのため、事前の施工計画と段取りが最重要といえる。

鉄骨構造の強み

鉄骨構造は、地震や風圧に強く、重量に対する強度が非常に高い。また、自由度の高い空間設計が可能で、大スパンの建築にも対応できる。倉庫やスタジアムなど「柱の少ない空間」をつくるには最適な構造形式だ。

さらに、溶接技術・耐火被覆・塗装技術の進化により、耐久性や防錆性も格段に向上している。これにより、長期使用が前提となる公共施設や産業施設でも、鉄骨構造が標準化されている。

鉄骨工事は、建物の“命”を支える根幹業務である。見えなくなる部分こそが最も重要であり、その精度と安全管理こそが職人の誇りである。