皆さんこんにちは!
有限会社本多工業、更新担当の中西です。
鉄骨工事の基礎と役割
建築現場を見渡したとき、まず目に入るのが鉄骨の構造体である。高層ビル、工場、倉庫、商業施設、橋梁など、現代の大半の構造物は鉄骨を中心に組み立てられている。木造やコンクリート造とは異なり、鉄骨構造の最大の特徴は「強さと柔軟性の両立」である。
鉄骨工事とは、鉄骨の製作・加工・建方・溶接・ボルト締結などを通じて、建物の主要な骨格を形成する工程を指す。構造計算をもとに、設計通りの精度で鉄骨を立ち上げることが求められる。わずかなズレでも建物全体の精度や安全性に影響を及ぼすため、数ミリ単位の誤差も許されない。
鉄骨工事の流れ
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設計・製作図の作成
構造設計図をもとに、鉄骨製作図を専門業者が作成する。ボルトの位置、溶接箇所、梁の長さなどをすべて3Dで確認し、現場での施工誤差を防ぐ。
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鉄骨加工・塗装
製作工場で鋼材を切断・孔あけ・溶接して部材をつくる。JIS規格に基づいた品質検査を行い、溶接部の超音波探傷試験(UT)や磁粉探傷試験(MT)などで欠陥をチェックする。
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現場搬入・建方作業
鉄骨はトレーラーで現場に搬入され、クレーンによって吊り上げ・組み立てを行う。建方作業では、現場溶接と高力ボルトによる接合が中心となる。地上数十メートルの高所で、精密かつ迅速な作業が求められる。
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本締め・溶接・検査
仮ボルトで位置を合わせた後、本締めを行い、トルクレンチで規定値を確認。すべての接合部に検査記録を残す。溶接箇所も外観・内部ともに検査し、品質保証を行う。
鉄骨工事は建築工程の中でも特に「時間との勝負」が多い。現場の工程は鉄骨の建方に大きく依存しており、遅れが全体の工期に直結する。そのため、事前の施工計画と段取りが最重要といえる。
鉄骨構造の強み
鉄骨構造は、地震や風圧に強く、重量に対する強度が非常に高い。また、自由度の高い空間設計が可能で、大スパンの建築にも対応できる。倉庫やスタジアムなど「柱の少ない空間」をつくるには最適な構造形式だ。
さらに、溶接技術・耐火被覆・塗装技術の進化により、耐久性や防錆性も格段に向上している。これにより、長期使用が前提となる公共施設や産業施設でも、鉄骨構造が標準化されている。
鉄骨工事は、建物の“命”を支える根幹業務である。見えなくなる部分こそが最も重要であり、その精度と安全管理こそが職人の誇りである。